今日は菜の花コンサート

朝、LuxObscuraのStellaSprendensを聴いて(21回目)、初台のオペラシティ内リサイタルホールへ。2時からゲネプロ、本番は7時から。何の打ち合わせもなく、司会は西潟さんと私ということで開始。一曲目は吉村弘氏の<アロマの雲>。4人ずつ2パートの筝が、爪ではなく指だけでひそやかな音がさざめくミニマルミュージック。作曲者のことは私は全く知らないけど、3年前にお亡くなりになったということ以外、演奏者達もあまり知らないらしい。地下鉄南北線の駅のサイン音を作ったり、環境音楽方面で活躍なさっていたとか。非常に繊細で、響き的にもいい感じだった。但し筝の調弦にあと10倍時間をかければもっと違う世界になったかもしれないが、この曲だけやるコンサートではないので仕方がないか。終わって、昭子さんと私がお客さんにご挨拶、そしてご案内。次の曲は、藤枝守氏の「植物模様十一章」。完全なピタゴラスチューニングの笙と5度4度調弦の筝の織り成す、東洋的純正律ピタゴラス純正律)の上品で繊細な音空間。藤枝氏は我がNPOの会報でも対談をお願いしたりして、日本では珍しい純正律作曲家同士の話となり、共通点と違う点がよくわかったりした。この曲は氏の一番良い面が発揮されたとても美しい曲で、会場でも言ったけど、こういう曲がもっと演奏されたり認知されたら、氏のいい所が広まるのにと思う。3曲目は私の旧作「畝土奈(せどな)」。2年前の曲で、去年もこの同じコンサートで西潟昭子さんと福永千恵子さんが演奏したが、今日は野澤夫妻の演奏で、全く違う雰囲気となり、同じ曲とは思えない新鮮さがあった。ここで休憩となり、後半は松尾祐孝さんの「さらし五変化」で始まる。創作邦楽に12音技法を取り入れた作品というけど、12音はともかく、5連音符、6連音符、7連音符が同時に進行したりするスリリングなリズムもあり、前半の3曲とは激しく違ったメリハリがあった。そしてドクター六花の「蒼く、長い、夜の夢」。去年と同じくラテンパーカッションとドクターのギターが入り、サウンドは一転ライブハウス風になり、これも異色モード。会場も盛り上がりを見せた所で、最後に私のヴァイオリンが入る自作自演の「虹の螺旋」。ひとりひとりの演奏は難しくないけど、初演の本番では思いがけないことが起こる。スリルはあった。アンコールとして「あたりいちめんの菜の花」。会場の皆さんも大声で参加してくれて、よい盛り上がりで終わった。時間が延びて、楽しみにしていた打ち上げの時間が若干短くなったのが少し残念だった。