聴いたCD

昨日に続いてティシチェンコの「ダンテ交響曲」。やはり凄まじい。ティシチェンコの師匠たるショスタコバルシャイ盤の全集で、No5とNo14を聴いてないので、まずNo5。1.2.3楽章はいいとして、4楽章はひどい。この曲は中学時代から大好きな曲で何回も聴いたし、東響で演奏もしたことがある。昔は特に4楽章の冒頭にはしびれたものだった。中学時代に読んだ「音楽芸術」の作曲家同士の対談で、芥川さんがこの4楽章をひどい手抜きだと非難していたが、その後意味がわかるようになり、今日聴いても手抜きの凄まじさに驚く。「部長刑事」だったかな、テーマにも使われて、丸で時代劇の音楽みたいなフレーズはそれ自体はよしとしても、とても展開に向くようなメロディじゃないのに薄めて引き伸ばして水洗いした餅のようにふやけ、安っぽい映画音楽風の処理も随所に聴かれ、緊張感もなにもなく、最後にはやたらとティンパニがうるさく、無理矢理の終わり方。この曲の全楽章はセンスの悪い共産党幹部を念頭に置いているはずで、こんな調子で喜ぶだろうとバカにしきっていて、それでもまんまと大成功を収めてしまう頭の良さには感服するしかない。
5番の消化不良を克服するため、ショスタコ交響曲の中では私の一番好きな6番を聴く。バルシャイ盤では2回目。これは5番の手抜きを反省したかのようで、特に1楽章は5番の4楽章とは対照的に、テンポこそ遅いが、緻密さにあふれ、2楽章3楽章の脳髄をかきむしる刺激的フレーズの快感はたまらない魅力だ。
続いて14番「死者の歌」。ロジェストヴェンスキー盤より歌手がうまく、言葉はわからなくても全く飽きない。ショスタコにしては珍しくシリアスを全面に押しだしているが、シロフォンによる12音などは刺激的だ。