聴いたCD

盗作問題の企画書を書きながら聴いたCD。「アウアーの遺産」2枚組。アウアーの錚々たる弟子たちのSP時代の録音集。ジンバリストはポルタメントもビブラートも自動演奏のように正確無比。その分、面白みには欠ける。Macmillen(グローヴにも載っていない)は意外に端正で上手。一番がっかりしたのはミルシュタイン。本人の編曲によるショパン嬰ハ短調ノクターンにしても他の曲にしても全く覇気がなく、メロディの弾き方が魂の抜け殻。全体の演奏に全くモチベーションが感じられず、寒くなってくる。このCDの中で一番印象に残るのがトシャ・ザイデル。この間亡くなった江藤俊哉氏の名前の由来の人でもあるが、今まではっきりと聴いた覚えはなく、あまりにもうまいので驚いた。最後にエディ・ブラウン。下手ではないけど、特にグリーグのヴァイオリン・ソナタにおいてのフレーズの取り方がクラシック特有の泥臭さにまみれきっている。