誰がクラシックをだめにしたか。

とてもワクワクする素晴らしい本だ。今まで殆ど語られたことのないプロモートの裏話の歴史だ。どんなに才能があっても、自分で有名になることはできない。グローヴ音楽辞典でさえも避けて通ってきたウラ歴史は読んでみて初めて頷ける話しばかりだ。例えば、アントン・ルビンシュタインとヴィエニャフスキの8カ月で215回のアメリカ演奏旅行は、ピアノのスタンウェイ社が深く関係しているとか、気難し屋のヴィエニャフスキはほんとに詰まらないことでルビンシュタインと喧嘩ばかりして、二人ともクタクタになったとか。その他イカサマに近い興行師の暗躍が音楽史を書き換えていることがあからさまに書かれている。まだ三分の一しか読んでいないけど、私の拙い音楽史観を徹底的に洗い直す絶好の資料だ。