コンサートの珍事

コンサートでとんでもない珍事が起こった。邦楽器アンサンブルのメンバー二人の尺八がステージにいなかったのだ。そんなことは私は分からなかったから渾身の指揮で演奏は始まった。そして、2分くらい経った所の尺八の目立つ所で音が出ない。
 私は二人がいないと言うことは知らなかったので一瞬、何が起こったのかは分からなかったけど、尺八がいないと言うことに気づいたメンバーもいたんだけど、私に何のサインもなかった。そう言う時は私が棒を振り下ろす前に、誰かが尺八がいないと言葉で言ってくれないと私には分からないのだ。

 私は過去、とんでもない経験をしている。未だ20代の前半、読響のトラでヴァイオリンを弾いていた時のことだ。
青少年向けなので、やる曲は大したことは無いし,アンコールは白鳥湖の有名な「情景」。ハープとオーボエの名曲。形道理の進行だから客も半ばシラケながらお義理の拍手。所が指揮者は何度も挨拶しては戻る。やがて客席もざわつき始め、指揮者は10回目位でやっと指揮台に立った。でも振ろうとしない。
コンサートマスターがどうしたのかと訊くと指揮者はある所を見ろと言う。すると、何と言うことか主役のハープがいない。それでもざわついている客のために遂に世界初演、ハープなしのお間抜け白鳥湖が始まった。
私はヴァイオリンを弾いていたけど、こんな珍事は凄まじい体験だった。ハープは有名なモルナールさん。気づいて途中で靴音も高く慌ててハープ席に着き、ボローンと出した音が前の曲のペダルのママだったからトンデモない音痴。今日と匹敵するほどの凄い珍事。