今日は水戸へ行くぞ。寒そうなのでジャンパーの上にコートという重装備。地下鉄で10時半頃に北千住に着いたが、またまたダイヤがうまく噛み合わず、水戸までいく電車を30分ほど待たされる。快速とはいえ、取手から先は各駅停車。驚いたことに、各駅の発車音があの悲惨な中野駅とまったく同じ。神立という駅だったか、なんと、その発車音楽もどきと発車ベルを両方鳴らしたのには、ほんとに驚いた。田舎もうるさいなあ。13時頃臨時停車の水戸偕楽園駅に着く。止まるのは下りだけの変則方法。見終わってもここから東京に帰るわけにはいかない。ぶらぶらと東門へ行ったら、日曜のせいかやたら人が多い。しかし入ってみると梅はまだ2分咲きくらいでつぼみも固く、まったく話にならない。そんなとこで長居してビール飲んでも仕方がないので、すぐ駅に戻って水戸へ向かう。梅はしょうがなかったが、この臨時停車の変な駅にいちどは乗降してみたかったので悔いはない。水戸からすぐに特急でとんぼ返り。我孫子で快速に乗り換え、北千住、そこから東武線で浅草へ。フレンズでもらった浅草演芸ホールの招待券が2月いっぱいまでなので、演芸場の近くの洋食屋「よしかみ」に入り、チキンのカレー煮でビールを飲む。そして演芸場へ入ったら、夜の部の若手の落語がまったく覇気がなく、おもしろくもなんともない。落語界はこぶ平正蔵を襲名するといので、おねりとかうるさいことこの上ないが、若者があんな調子じゃ落語もブームになりそうにないね。あくびの出る寄席ほどつまんないものはない、トリもたいしたことなさそうなので、雷門のおでん屋に入り一杯。地下鉄で上野広小路へ出て、デリーのカレーをテイクアウト。また少し歩いて、湯島から乃木坂へ。なかなか移動の激しい1日だった。
夜なにげなくテレビをみていたら、デジタルテレビでモノクロ映画をやっている。あれっと思ったらやっぱり「ここに泉あり」だった。艱難辛苦の末、群馬交響楽団が立ち上がるまでをモデルにした今井正監督の映画で主演が小林桂樹岡田英次、そしてなんと岸恵子。やはりとてもまぶしくて美人だったなぁ。小林桂樹は団長役で岡田英次コンサートマスター岸恵子がピアニスト。映画としては、シークェンスのつなぎが悪く、とてもいい映画とは思えないが、テレビのない時代の娯楽として、たいへん真面目に作られている。岡田英次はどういう風に特訓したのか、とてもうまいヴァイオリン弾きにみえる。構えも弓さばきもプロ級で、ボーイングもほぼ完璧に合っている。さらにヴィブラートまで、絶品の芸をみせる。加藤大介のコントラバスにしても、同様にちゃんと弾いてるように見えるから、驚いたもんだ。この映画をみる直前に「行列のできる法律相談所」の中でヨーロッパ帰りのヴァイオリン教室の先生が詐欺まがいの商売をしている話があって、その先生が弾くヴァイオリンの姿なんてまったく最低で役者根性ゼロ。それに比べればあの時代はたいした演技だ。音楽は團伊玖磨。この人独特の朴訥さが群馬の田園風景によく合っている。しかし何といってもこの映画の圧巻は、本物の山田耕筰が登場することだ。晩年はヌーディストになって女子学生を困らせたりした変なおじさんだが、映画では堂々とした芸術紳士。偽者という雰囲気は全くない。やはりその当時の楽壇の牽引者だったんだろうな。懐かしい映画をみてしまった。