今日の夜は荒井章乃さん(水野佐知香さんのお嬢さん)の初リサイタル。その前に私自身が明日と明後日、山梨甲府および河口湖でやるミニコンサートの曲順の選定や構成などを考えるが、なかなか進まない。こういうコンサートは、結果はいつも出たとこ勝負なんだけれど、事前には相当用意周到に準備しておかないと怖いものだ。やっと目処がついて章乃さんのコンサートの開始時間を確認すると18時で、慌ててかけつけたが、結局モーツァルトとプロコフィルは聞けなかった。休憩の後のバルトークソナタラヴェルのツィガーヌを聴いたが、章乃さんの音はとてもすばらしいし、演奏態度も堂々としていてこのままいけば結構なソリストになる感じは受けたけれど、細かい演奏についていうと私は学生時代にこのバルトークソナタが大好きで、学内演奏したことがある。そのときの私の弾き方と章乃さんの弾き方は全く違う。どちらがいいのかということは、並べて聴いた人の判断に仰ぐしかないが、そんなことは絶対不可能なので、私自身の感想を言うと、章乃さんはバルトークの作曲意図を把握しているとは残念ながら思えない。特に後半の早い部分はもっとヴィヴィッドでアグレッシヴでなければならないと思う。私ですらどことなく違う曲ではないかという印象を持ったくらいで、どうなのかな。それに比べてツィガーヌはすばらしい演奏だった。もともとジプシー風の曲なのだけれど、結構章乃さんにあってるんじゃないかな。そしてアンコール。2曲やったけれど、もちろん私はよく知っている曲なのだけれど、今この瞬間でも曲名が思い出せない。私はあえて章乃さんに苦言を呈するが、絶対に肉声で作曲者と作品名を言ってほしい。そのアンコールの演奏でとても気に入った曲をCDで探そうと思っても曲名がわからなければどうしようもない。こういうことも含めて、クラシックのコンサートというのは、非常にお客さんに対して非礼きわまりないことが多い。これは別に章乃さんのせいではない。業界のしきたりが悪すぎるのだ。それにしてもお客さん満杯だったね。章乃さんおめでとう。