今日は午後、東北沢のCI協会へ出かける。先日、磯田さんから聞いた、アメリカで評判になっていると言われているクリスタル・ボウルの音を聞くためだ。CI協会ビル2Fの広くない部屋に30人くらいが毛布上であぐらをかいている。クリスタルの粉で作られた円筒形の透明なバケツ状のボウルは叩くととても透明ないい響きがする。棒でこするとこれが非常に豊かで長いエコーを発し、延々と音を出す。パフォーマンスは元CI協会にいて、今は南伊豆に住んでいる牧野さん。一つ一つのボウル自体は自然倍音で鳴っているから、純正律そのもの。但し、基音は少しずつ違うから微妙な唸りが生じ、ボウル同士が牽引したり反発したりする様が会話の様にも聞こえなくはない。但し私は職業柄、音楽として聴こうとするからどうしても音程が気になって落ち着く気分にはならず、もう少し音を厳選して少ない範囲でやればいいのにと思ったりしてしまう。30分くらいで前半は終わり、後半は牧野さん磯田さんお二人から「もう寝るッきゃない」と言うお言葉でみんなが毛布の上で寝っ転がりだした。前半でもチャクラとか、エネルギーと言う言葉が飛び交い、私はその手の言葉には多少退くところがあるんだけど、催眠効果とかにはもちろん乗れない。でもお客さんは効果的に寝た人が多かったようだ。もちろん私はダメだけど一緒に行った神田嬢には効果的だったようだ。強いて音楽的にいうなら、アルヴィン・ルシェのクラリネットオシレーターの実験曲とか、10人のトロンボーンの「シスターンチャペル」に似ているジャンルだろう。終って牧野さんを紹介してもらい近々南伊豆にお邪魔させてもらうことにした。とにかく余韻の深さには驚いたし、4弦奏の弓とかタンブーラマシンとかとやれば面白いことになるかも知れない。
夜、ストリング誌のゲラ校正しつつ聴いたCD,黛敏郎「涅槃交響曲」。東京都響の演奏で2回目。メシアンのトゥランガリラほど派手でもなく、執拗なオスティナートの作曲家なのだなと思う。少ししんどかったので耳直しにメノッティの「迷路に突入」。同じオスティナートでもこっちの方がカッコいい。