イヴリー・ギトリス氏と逢ってきた。

tamakihiroki2007-10-27

大雨の中、新高輪プリンスホテルに行き、イヴリー・ギトリス氏と逢ってきた。ストリング誌の青木編集長の企画で、私が書いた「革命的音階練習」を見てもらって感想をもらうというもの。楽譜だけ見てもらっても仕方がないので本人の前で演奏しながらの話ということになり、朝からヴァイオリンをさわったが左手がニカワ状態で全く動かない。どうしようかと思いつつ「革命的音階練習」をやっているうちに見る見る回復。自画自賛だけど「革命的音階練習」は指の回復に凄い効果。
さて、3時頃ホテルに到着。モーストリークラシックの取材が延びて、始まったのは4時前。85歳のギトリス氏、さかんに「非常に疲れている」を連発するので早く切り上げようと思い単刀直入にヴァイオリンを取りだし楽譜を見てもらいながら実演。ギトリス氏は私が何をやっているのか始めは当惑して、これは何の役に立つのか、目的は何か、を連発して話がかみ合わなかったが、段々と理解してくると身を乗り出し、そのうち私のヴァイオリンを貸してくれと言い、いろいろと弾きだした。また、私のことを実にヴァイオリンの好きな人だなというから、いや、私はヴァイオリンは好きじゃないというと何が好きなんだというから、作曲が本業だというと、どんな曲を書いているのか非常に興味があるといわれ、後日CDを贈る約束をする。でもヴァイオリンも本業で、コンサートでよく奏くが、全くさらわないというと、氏はプロはみんなそうだと言って笑った。疲れているといいつつ面白がっているのがわかる。青木さんはギトリス氏からのお墨付きが欲しいらしく、こんな日本人がこんな音階練習を書いたのをどう思うかという、私自身だって鼻白むことを訊くものだから、とても役に立つ方法論を編み出すということはすばらしいことだが、それが日本人だろうと何人だろうと関係ないとアッサリかわされた。しかし、私の方法論は充分に理解できたようで、一冊欲しいと言われ、また、明日の公開レッスンに是非参加して欲しい。そこでこの本をみんなに紹介しようと言ってくれたが私は明日は作曲の締め切りで行けないというと、どんな曲を書いているのかと訊かれ、邦楽器アンサンブルと自分の独奏ヴァイオリンの曲だというと、その曲をぜひ聴きたいという。そのうち音楽やヴァイオリンに対する考え方の話になり、その辺は私も全く同じ考えなので、おしゃべりヴァイオリンとかウクレレヴァイオリンをやると笑いだし、私がバッハのガボットのおふざけをやると、ギトリス氏、自分もやるといって、また私のヴァイオリンで即興のおふざけ、私は昔、ジャズやロックをやっていたというと、自分もそうだと何かにつけ張り合おうとされて多いに面食らった。でも結果的には楽しんでもらったようで良かった。
その後、青木さん、フランス語通訳をやってもらった幅さん、うちの秋山さんとみんなで事務所に戻り、私の新しいCD用の音源を聴きつつ、乾杯。