聴いたCD

じっとしてなければいけないので、CDばかり聴いた。エルガー(1857~1934,英)Sym No1、全集盤では初めて。なんだかもやもやしたイントロで気が晴れず、その後も下手なブラームスまがいが多く、持って回った展開にうんざりしていたが、終楽章になって一楽章のイントロの意味がわかった。要するに「威風堂々」なのだ。しかしエルガーブラームスのように韜晦したため、なんだか効果が薄くなって感激がない。
Hiller(1811~1885、独)Pf Con No1,No2,No3。土曜日に買ったCDの一枚。生存中はとても有名な人で、メンデルスゾーンシューマンとも新時代の仲間と言われた友人だった。しかしシューマンが「作曲の技術は認めるが独創性がない」と喝破した通り、現在では忘れ去られている。辛うじてNo2は何枚かCDがあるが、No1とNo3は世界初録音。No1とNo2はいいところを見つけるのに苦労するが、No3はある程度モチヴェーションがはっきりしていて、聴きやすい。といっても素晴らしい曲ではない。
ドホナーニ(1877~1960、ハンガリー)のヴァイオリン協奏曲No1,No2。これも土曜日購入の一枚。Naxosの帯には今活躍している指揮者クリストフ・フォン・ドホナーニの息子と書かれているが、大間違いで孫である。クリストフはアメリカにいた祖父を頼り、音楽の修行をした。その祖父は実に偉大な才能でピアニストとしては世界に名を馳せ、ピアノ以外の楽器にも知り尽くし、この協奏曲も丸でヴァイオリニストが書いたような感じがする。作曲技術もオーケストレーションも最高水準なんだけどちょいとわざとらしいところがあって、そこが見透かされたのか、今では殆ど演奏されない。昔少し有名だったピアノとオーケストラのための「童謡による変奏曲」なんかその典型で、ちょい長く感じるオーケストラの前奏はまるで大悲劇を予感させる大げさ振りのの挙げ句、ピアノが登場するとなんと童謡は「キラキラ」星なのだ。アイデアは悪くないし、曲も素晴らしいのだけど、初演のときにしか効果はない。ドホナーニは当時のハンガリーの音楽水準を上げることに全身全霊で邁進していたためのサービス精神が返って効果を半減させている。惜しいことだ。