私は今(昼)石川県の和倉温泉にいる。3月いっぱいで廃止される能登鉄道に乗る為に東京7時12分の新幹線で越後湯沢へ、乗り換えて金沢へ、また乗り換えて和倉温泉へ。詳しくはまた後ほど。

越後湯沢からの北越急行ほくほく線)は日本でも一番雪の深い所を通るだけあって十日町の近所では今でも二メートルの積雪があった。しかし直江津に着くまでにはすっかり雪もなくなっていた。「はくたか」で金沢に11時に着き、11時12分特急サンダーバード(なんという名前だ)で和倉温泉に12時10分に着いた。ここから3月いっぱいでなくなる能登鉄道に乗るのだが、廃止されない穴水で能登半島の最果て蛸島まで行く列車に乗り換える。蛸島までの沿線風景は海岸沿いに走ってからすぐにトンネルというくり返しでたいへん景色がいい。もっとみんなで知恵を出し合ったら観光鉄道として残る道もあったんじゃないかと思いつつ蛸島に着いたのが15時14分。とても時間がかかった。まぁ60kmもあるからしょうがないか。蛸島からの帰りが、一時間ちょいあるので駅の外に出たがまったく何もない。駅も無人駅だが、アルバイトの女性が記念切符を売っているだけだった。せめて屋台でも出せばいいのにと思うが、もうそんな気力もないのかもね。仕方がないので折り返しの珠洲止まりの今来た列車に乗る。少なくとも珠洲市なのだから駅前には何かあるだろう、と思ったが、やっぱり何もない。食堂とか喫茶店とか何もないのだ 。仕方がないので少し散歩していると大丸のフードセンターがあったので、そこでビールやつまみを買ってひたすら待つ。16時34分珠洲発の列車で七尾着19時21分。穴水から蛸島そして七尾まで、運転士は場合久人さんひとりにお世話になった。七尾で10分待って金沢行きへ。21時5分に到着。何もせずにただ乗っているっていうのもつらいものがある。ホテルに着いてすぐ近所の飲み屋へと出かけたが、ほとんど目の前に広島風お好み焼き屋があった。なぜ金沢で広島風なのか。と思って入るとアメリカ人の男性兄弟が座っていた。弟の方が6年前に日本に来ていたことがあって、この金沢にも来て、このお店に入ったんだ、というんで来た、といっても、店のおばさんは、私は覚えてない、などとしゃべりながら、その弟が私にやたらと話しかけてくる。どうやら忘れてしまいそうな日本語のリハビリに励んでいるのだ。まあいいかと思いつつ話しているうちに彼は先週の金曜日に銀座の王子ホール高嶋ちさ子のリサイタルに行ってきた、と言い始めた。まぁもちろん私がミュージシャンだと言ったからではあるが、高嶋ちさ子を知っているかというので、知るも知らないもないよ、一緒に仕事をしているし、と言ったら、彼は雷に打たれたような表情になった。そちらこそ高嶋ちさ子をよく知ってるのか、と聞くとどうもおっかけらしい。だから顔も名前も知ってるはずだよ、というから、じゃぁ金沢で玉木にあったと言ってみな、と言ったら彼の評価がガラっと変わった。高嶋ちさ子を知っているならきっと有名な人に違いないと思ったのだろう。そして自分もヴァイオリンを弾くらしい。で、私に、ヴァイオリンで何をやるのか、と聞くから、クラシックはほとんどやらない、じゃぁ何をというから、面倒臭いのでロックとかジャズだと言ってごまかそうとしたら、日本語のリハビリのため激しく突っ込んでくる。仕方がないので、今はエンシャント系のようなことをやっている、というと、なんと彼は自分は古楽を演奏していると言い出した。それならばJUST INTONATIONはわかるか、と聞いたら、私の発音が悪かったのか、最初はぽかんとしていたが、ゆっくりと発音しなおすと、彼はもちろん知っているよ、アメリカでは結構いるよ、という話になって、一応名刺交換をしたが、まぁおもしろい出会いではあった。第1日終わり。