久しぶりのひとり旅なので、子供の遠足の時のようにほとんど寝ないで朝7時に朝食を食べ、駅前の地下から出ている北陸鉄道浅野川線に乗りに行く。駅の地下は非常に広くどこの大都市にも負けない立派な作りで、その一画に浅野川線の乗り場があった。ちょっと見は神戸高速鉄道の新開地発神戸電鉄の駅に少し似ているかな。ところがホームに入ると元井の頭線の電車が二両連結で待っていた。7キロくらいしかないところに急行の看板をぶらさげている。こんな立派な地下駅になっているところを見ると浅野川線は廃止されることはないだろうなと思いつつ、沿線風景は全く凡庸な中都市風。浅野川に沿って終点の内灘まで行く。内灘は私が中学の頃米軍自衛隊の射爆場があって大紛争の地帯だった。駅の外へ出てもそんな面影は全くない。まだ時間が早いので、喫茶店はやっていない。そのまままた折り返して金沢へ戻る。予想していたのとは違い全くなんの変哲もない市内電車の延長のようなもの。金沢に着いて次は北陸鉄道石川線に乗るのだ。この石川線のターミナルというのが野町という駅だが、地図をみると金沢の中心部からかなり離れている。歩いて行けそうかなと思いつつ目の前にタクシー乗り場があったので、野町までいってもらうと、これがなんと1350円もした。歩かなくてよかった。この野町駅は結構堂々とした雰囲気があり、私はこの石川線の歴史は知らないが、なぜこんな所にターミナルを作ったのか、いつか調べてみたいものだ。ここも電車は二両、こちらは井の頭線ではなく元の東横線である。こうやって日本の零細私鉄はどこへ行っても東京の私鉄(丸ノ内線を含む)のお古ばかりとなって自社製などは全部淘汰されてしまった。おもしろくないね。乗って二つ目が新西金沢という駅でJRと接続している。そのまま電車は30分くらいかけて加賀一の宮という終点に着いた。ここでも駅前には何もない。5分ほど歩いて、白山神社の鳥居だけ拝んで、また折り返しの電車に乗る。新西金沢で降りて、目の前の西金沢駅に着いたのが11時20分頃。ここからJRで高岡へ出て、風鈴づくりの天才小泉さんに会いに行くのだ。ところが駅でダイヤを確かめるとたったひとつの金沢駅に行くのに約1時間待たされる。その上金沢発の高岡へ行く電車は13時発になるという。なんという無神経なダイヤなのか。ここの駅前も何もないのでこんな所でぼーっとしているわけにもいかず、タクシーで金沢へ。1440円もかかった。さすがに金沢駅は立派なもので、駅ビルを歩いていても楽しい。特急で高岡へ行けるので、それに乗って12時40分に高岡に着く。小泉さんに駅前の魚料理の店に連れていってもらう。ちょうど蛍いかの季節とか、いろいろ凝った料理が出て、たいへん感激した。これから万葉線に乗るんだ、と言ったら、割烹の親方が妙な顔をする。私がふたりに高岡市民は万葉線を利用しないのか、と聞いたら、ふたりともあごであざ笑って、そんなもん乗るかという顔をしている。そこへ小泉さんの知り合いの神主(といってもまだ若いけれど)が合流。この人は高岡の地域振興に真剣に取り組んでおられる。私が万葉線に乗るといったらたいへん喜んで、小泉さんと親方にふたりは地域愛がなさすぎると説教していた。とても神主とは思えない弁舌でとうとうと地域振興の話を展開する。そのうちに小泉さんの風鈴と純正律の話になりその人は純正律にも興味があるらしく、先日老健施設大会で賞をもらった話にはぐぐっと膝を乗り出した。この辺りにもそういう施設はいっぱいあるから、ぜひそういうコンサートのようなものをやりましょう、という。すごい行動力のある人で、10月でどうか、よし10月でやりましょう、という話になり、何度も小泉さんに10分で純正律の説明ができる準備をして下さいと念を押していた。とてもおもしろい愉快な人だった。そして私は単線の市内軌道万葉線に乗る。赤い色の新製電車は乗り心地もよく軌道もよく整備されている。小泉さんからはあんな脱線ばかりする万葉線なんてとお荷物扱いだったが非常に快適だった。ただ広い道路の上を単線で走るというのも妙な気がしたがそこがこの電車のおもしろい所だろう。途中から複線の専用軌道になったりして非常に変化に富んでいる。そして終点の越ノ潟へ到着。目の前に大きな河口がある。昔この辺の港湾施設拡大のため河口を大きく広げたときこの越ノ潟から対岸まで鉄道用の鉄橋があって、そのまま富山地方鉄道射水線とつながり富山まで行っていたのだが、この河口拡大のため、鉄橋ははずされ、射水線と万葉線は分断された。その数年後地鉄射水線も廃止された。私は廃止される一年くらい前の射水線には乗ったことがある。小泉さんが越ノ潟まで車を回してまっているから、というが全く誰もいない。しばらくモジモジしているとお待たせしました、と到着。ここから富山駅まで送ってもらった。小泉さんどうもありがとうございました。地鉄の電車に乗ろうか市内電車に乗ろうかまっすぐ東京に帰るか思案しているうちに時間が中途半端になったので駅ビルを散策。鱒寿司、鱒弁当、ぼたもちとビールを買って、16時過ぎの「はくたか」で東京へ。
戻ってテレビをみるとなんとサッカーに間に合っていた。みていると自殺点で勝ってしまった。ほんとうにサッカーってつまんないね。あれはバーレーンが引分け狙いでこちょこちょしているうちにミスをおかしたのであって、それからのバーレーンの反撃はものすごい力があった。最初からマジに戦ってほしいよ。どうもサッカーには引分けも勝ちのうちのような雰囲気があって最初から時間引き延ばしの引分け目当ての試合なんて最悪だ。こんなこといっても始まらないけどルールを改正して引分け狙いの消極的な作戦には柔道のように教育的指導をすべきだ。これが二回続けば負けという風にすれば時間は短くなるし、真剣にやらざるをえなくなるだろう。そうこうしているうちに電車ばっかり乗ってて疲れたのか私の体に教育的指導が入った。