新刊本

4月下旬北辰堂出版より刊行予定の私の新著「贋作・盗作音楽夜話」の章立てと内容についてお知らせします。
第一章「作曲家奇人変人大集合!」
猛烈なアル中の作曲家はC・バッハ、グルック、フォスター、ヴィエ ニャフスキ、ムソルグスキー、アレンスキー、グラズノフ、レーガー。この内、直接酒が死因となったのはグルック、フォスター、ムソルグスキー。またヴィエニャフスキーとアレンスキーは猛烈な賭博癖。映画「砂の器」でピアノ協奏曲を作曲した菅野光亮氏は全く酒の飲めない体なのにモスクワで寒さしのぎに無理矢理飲んだウォッカが原因でアル中となり、東京で仕事中に死亡。


「作曲家の悪妻物語」ハイドンモーツァルトショパンとサンド、クララ・シューマンプッチーニの悪妻は下女に浮気の嫌疑をかけ自殺に追い込むが検屍の結果結果、処女と分かる。世界一の悪夫はドビュッシー。二人の妻をピストル自殺未遂に追いやっている。

「同性愛の作曲家」
歴史上性的に一番だらしのなかったのは両刀使いのリュリ。チャイコフスキーの相手は私の想像ではタネーエフではないか。現代のアメリカでは「弦楽のためのアダージョ」のバーバーとオペラ作家のメノッティが同棲。それに激しく嫉妬したのは自分の容姿に自信の無かったコープランド

「作曲家の性格」
1.人格者の作曲家なんているわけがない。2.辛気くさいバッハ---頑固で短気で怒りっぽく、抜刀騒ぎも起こし、周りと衝突ばかり。女人禁制の教会のオルガン席に女を連れ込み、オイタをしたのがバレて結婚させられたのが最初の妻。3.ワーカホリックチェルニー。4.忘れっぽいシューベルト、「未完成」になったのは、書き忘れただけ?5.セックス依存症?のリスト。6.強迫神経症ブルックナー。7.他人の悪口を言うのが好きだったブラームス。8.モーツァルトを上回る神童だった?サンサーンス。9.世界を股にかけた放浪癖のアルベニス。10.オシャレすぎるラヴェル


第二章「盗作だらけの音楽史
「バッハは本当に音楽の父?」
絶対にそんなことはない。死後80年も演奏されなかったバッハのことなんて誰も知らなかった。特にハイドンは全く知らなかった。
「バッハの贋作、実はバッハ自身による盗作?」
ラバーズコンチェルトの原曲として有名なメヌエットは最近ペツォルトの作だと分かったが贋作ではない。なぜならペツォルトの方が断然有名だったから。バッハは二度目の妻用に作った練習帳にペツォルトの名前を書かずにこの曲を入れてしまったのだ。
マタイ受難曲でとんでもない流用。マタイの一番盛り上がるコラール「血潮したたる主のみかしら」が実はハスラーという人の作曲した失恋歌だった。私が神戸地震カンタータを書いて最高に盛り上がるシーンで中山晋平の「船頭小唄」を流用するようなもの。
ヘンデルは盗作大魔王だった」
ヘンデル盗作癖は有名で、ヘンデルの側には誰もスコアを置かなかった。代表作「オンブラマイフ」実はボノンチーニからの盗み。計画的にボノンチーニをロンドンから追い出したヘンデルはボノンチーニのうちへ行き、スコアを物色。その中にあったのが「オンブラマイフ」。
「贋作だらけのハイドン、本人はどう思っていたか」
自分の作品を数社の出版社に売り込もうとしたり、仕事が忙しすぎて仲間内の曲を流用したり。
モーツァルトは子守唄を歌わない」
子守唄は今ではフリースの作であると判明しているけど贋作ではない。モーツァルトの死後コンスタンツェが勝手にモーツァルト作だと思い込んだ結果のこと。モーツァルトの死んだ翌日、フリースは25で自殺。当時、フリースの妻とモーツァルトの不倫が噂された。
「俺はベートーヴェンだ、盗作はゆるさんぞ!」
ベートーヴェンの激しい自己主張と個性は、絶対に盗作は許さないという意地の賜物。
「グノーの遺族と音楽出版社の血みどろの争い」
グノーはバッハのクラヴィア曲の上にメロディを乗っけ「アヴェマリア」を出版。ギャラは500フランの買い取り。つまり印税は発生しないのだが、このメロディは空前の大ヒット。しかしグノーは他にやるべき重要なことが有ると言って全く気にしなかった。しかし作曲家の死後、欲の皮の突っ張った?遺族は弁護士を立て出版社と法廷闘争。約100年後遺族が勝利。
カルメンのハバネラが盗作だったとは!」
ハバネラは「ラ・パロマ」の作曲家、イラディエルからの盗作で、初演後、音楽出版社が訴えた。ビゼーの言い訳は「民謡だと思っていた」結局今後はイラディエル原曲と楽譜に書くことで折り合ったのに現在は全く無視。
「韃靼人の踊りは誰の作曲なの?ボロディンさん」
イーゴリ公」の序曲はグラズノフ作で「韃靼人」はR-コルサコフの作という説が有る。ウニフェルザルの副社長だったロート氏の分析に付いて考える。
「チャイコのアイデア盗用」
「白鳥湖」の「二羽の白鳥」は自分の失敗作オペラ「ウンディーヌ」からの使い回し。「アンダンテ・カンタービレ」「弦セレ4楽章」は民謡の編曲。ピアノ協奏曲はA・ルビンシュタインのNo4協奏曲のアイデアの盗用で激怒され、ロシアで初演不能
「贋作三人衆」
ご存知クライスラーモーツァルトの「アデライード」協奏曲を贋作したカサドシュ。騙されたメニューヒンは録音もしている。そして稀代の天才贋作師トビア・ニコトラはセレナードで有名なドリゴの死後、ドリゴの名を騙ってアメリカのコンサートで指揮している。
「仲間内の融通は盗作か?」
演歌、タンゴ、サンバ、シャンソン等、パターン化されたジャンルは、そのサークルの一員と認められたら仲間内の融通は盗作とはならない。だからみんなクリシェだらけ。ウィンナワルツもその典型でヨゼフの曲をヨハンはパクっているが不問。
酷薄なヨハン・シュトラウス。父と仲違いしライヴァルとなった二人、父の葬式にヨハンは欠席。仕事が猛烈に忙しくなったヨハンは、ウィーン市から認められていた都市計画家の弟ヨゼフを無理矢理ワルツ作曲家にさせ、酷使して早死にさせるが葬式を欠席。ヨゼフの末弟エドゥアルドはヨハンの葬式を欠席。